フレットのメンテナンス

冬の乾燥時期はギターにも少し注意が必要です。ギターのある部屋の温度や湿度の変化を年間を通して極力少なくすることが一番ですが、なかなか簡単にはできません。
ギターのほとんどは木でできているため、湿度や温度により膨張や収縮がどうしてもおこります。この木の動きの幅が極力少なくなるよう、十分乾燥させた木で作られるのですが、それでも幅をゼロにはできません。
木と木が触れているところは、どちらも木のため乾燥などによって多少の差はあれどちらも変化し、不具合は出にくいですが、木と金属が触れているところは、金属が木ほど湿度によって変化しないため、良くない状態になる場合があります。
今回、手持ちのギターをチェックしていたところ、1弦のスライド奏法時にほんの少しだけフレットの端にひっかかりを感じました。目では判断できませんが演奏してみると感じるフレットの出っ張りがあるようです。指板上に打ち込まれた金属のフレットは、乾燥によりフレットの端が指板からほんの少し出てしまったり、溝が広がってフレットが浮いて引っかかることがあります。これをフレットの「バリ」と呼んでいます。
いくら少しでも一旦気になると演奏時に余計なストレスが生じますので、これを機会にフレットの端を滑らかに仕上げることにしました。
まず、マスキングテープでネックの塗装を保護し、布で弦と指板上を保護します。次に引っかかるフレットの端をヤスリで軽く仕上げます。さらにペーパーヤスリで番手を変えながらすべてのフレットの端を磨きます。塗装を痛めないように慎重にマスキングテープを取り、ポリッシュで汚れを取り除いて完成です。
今まで以上にフレットの端がすべて滑らかになり、とても気持ちよく演奏ができるようになりました。

2017年10月19日