68 ASTURIAS Solo Classico Premio/S


ASTURIAS Solo Classico Premio/S

 2020年春、新型コロナウィルスによる緊急事態宣言のため、4月末からのゴールデンウイークはステイホームウイークとなり、ずっと家にいる時間をどうしようかということになった。かなり前に妻がボーカル、私がギターの夫婦ユニット「ぽんにゃん」を組んでライブハウスなどに出ていたのだが、ここ10年ほど活動をしていない。これを機会に再結成しようかということになり、どうせならここ数年夫婦でハマっている青葉市子さんの大作をやろうと、13分ほどある「機械仕掛乃宇宙」(作詞作曲は山田庵巳さん)をすることになった。
 結構苦労してギターのコピーを行ない、いざ弾いてみると私が所有するクラシックギター(以下クラギ)では動きの多い中低音が出すぎて歌の邪魔をし、どうも感じが出ない。コンサート用のクラギは生音での単独演奏前提で作られており歌の伴奏で使うのは、私にはオーバースペックという感じである。
 青葉市子さんはYAMAHAの入門用のミニナイロン弦ギターCS40J(実売価格1万5千円ほど)をギターを始めた十数年前からずっと今も使用されている。CS40Jは弦長が580mmで通常よりも70mmも短い。ここまで弦長が短いと弦を太いものにしても音が前に出ないが、青葉市子さんは弦やピックアップ・マイクを吟味し、さらに全弦を半音上げたチューニングにして歌とのバランスを取ったギターサウンドを確立させている。じつはアコギラボ開設時にお子さま用のレッスンギターとしてCS40Jを入手しているのであるが、半音上げチューニングにしても弦高の加減や音のバランスをなかなか取ることができないし、子供用なので各部も小さすぎて私には楽器として使いにくい。ナイロン弦ギター前提の曲のためスティール弦ギターでは3弦のスライドの多用で弦ノイズがかなり出る。コンサート用のクラギで中低音を抑えて演奏するのにも限界があり、青葉さんの他の曲も今後する予定もある。今まで所有したことも無かったので、これを機にエレガット(ナイロン弦のピックアップ付きギター)を購入しようということになった。

 今回エレガットに要求する条件は、
・音量は大きすぎず音色はそれなりのもの
・ピックアップはアンダーサドルピエゾとコンタクトマイク等の2WAYでブレンド調節できるもの
・ボディはやや小さめで弾きやすいもの
・ただし弦長やナット幅は通常のクラギに近いもの
・青葉さんが2カポの場合通常チューニングでは3カポになり15~16フレットも和音で使うため、できればカッタウェイがありハイフレットが弾きやすいもの
などとなる。

 エレガットの選択肢はさほど多くないが、エレキギターやアコースティックギター(以下アコギ)がメインの人がライブなどでナイロン弦の音が欲しくてエレガットを購入するというパターンが多いのか、ナイロン弦ギターに入っていきやすくした、いわゆるアコギ寄りのエレガットが比較的多い。ネック幅をアコギ並みに細くしたり、ソリッドっぽいボディにしたりしているのである。クラギメインの人からすればエレガットは邪道なものであまり需要がないのかもしれない。
 私はアコギもクラギも弾くが、エレガットやはりクラギ寄りの方が弾きやすい。このクラギ寄りで、上記の条件を満たすものをネットで探したところ、このSolo Crassico Premioが候補に挙がった。アストリアスのクラギは現在も辻ギターを2本所有しており、中学生時代からアストリアスの販売会社である神戸元町のロッコーマンに良く出入りしていたこともあり、かなりの本数を弾いてきたため、製品のバラつきは少ないことも知っているし、どれくらいの作りと音かはスペックと写真である程度予想がつく。緊急事態宣言真っただ中で外出は控え、じっくり探す時間もなかったのでネットで新品を購入した。

 Solo Crassico Premio/Sはアストリアスの4種類のエレガットの中ではフラッグシップモデルである。到着したギターは予想通りのもので、セットアップもほぼ完璧であった。エレアコのため生音はそれほど鳴らないが、オール単板であるので響き自体は心地よい。プリアンプや二つのピックアップを内蔵しているため少し重い(通常より200gほど)が、ボディは通常のクラギよりもひとまわり小さく、特にボディ厚は通常よりも10mmほど薄い。ネック幅もやや細目で50mm、弦長も640mmと通常より10mmほど短いため弾きやすい。エレガットにはあまりない先のとがったフロレンタインのカッタウェイで、ネックヒール側には斜めにそぎ落とされたコンターがあり、ハイフレットでの演奏性は非常に良い。
 ピックアップはL.R.BaggsのDual Sourceを搭載し、サドル下のピエゾと、バック裏のコンデンサーマイクとの2WAYである。通常モードではピエゾの出力が最大でそこにマイクのブレンド量をサウンドホールに付いているツマミで調整し、そのミックス信号のトータルの音量をもう一つのツマミで調整しモノラルフォーンケーブルで出力する。しかし、このDual Sourceはプリアンプにあるスイッチを切り替え、ステレオフォーンケーブルを差し込むと、ピエゾとマイクの信号を別々に取り出せる。二つのツマミはそれぞれピエゾとマイクの音量調節となるため、より細かい設定が可能になる。

 ギターをM-FactoryのプリアンプPM-50にステレオフォーンケーブルでつなぎ、BOSSのグラフィックイコライザーをへてミキサーにつなぎ、さらにギターの前からコンデンサーマイクをややオフぎみにねらって立て、ラインとマイクで音を作ると、思っていた音がPAスピーカーから出てきた。
 ライブでの歌伴奏のナイロン弦は、これがメインになりそうである。

 夫婦ユニット「ぽんにゃん」の「機械仕掛乃宇宙」の演奏は、このホームページの「研究所」の「ギター伴奏動画」にアップしています。