河野 賢 No.20 (クラシックギター)
ネットでなじみのアコギ専門店のHPを見ていたら「1972年 河野 賢 No.20」が目に飛び込んできた。毎日ネットでギターを物色していた僕は、河野氏が1998年に72歳で他界した日本を代表するクラシックギター製作家で、1970年代は最も脂の乗った製作時期であることも、No.20は当時のフラッグシップモデルで最高の材が使われているであろうことも知っていた。しかも値段が相場よりもかなり安い。
これは素晴らしい音がするに違いないと、すぐにホールドして見に行った。バックのブラジリアンローズウッドはこれ以上は無いであろうと言えるほどの柾目のすばらしい材である。音についても予想通りの、いや、予想を上回る深く艶のある音色であった。右指の弾く角度の微妙な変化に追従して変化する太く甘い音色は河野独特の特徴で、ビブラートのかかりも秀逸である。
ただし、1970年ごろのクラギは音量を稼ぐため、弦長を現在のスタンダード650mmよりも長めの660mmくらいにしているものが多く、この河野も661mmであった。弦圧が強めで、指板幅もやや広めのため少しの弾きにくさは感じたが、それを上回る音の良さがあったので購入した。