スケールとは弦長のことである。つまり、ナットからサドルまでの弦が振動している部分の長さをいう。アコースティックギターは640~645mmあたりがロングスケール、628~635mmあたりをショートスケールと言い、これのどちらかの場合が多い。この間をメディアムスケールと言う場合もある。(エレキギターは628mmをメディアムスケールと言う)DタイプやOMタイプはロングスケール、000タイプはショートスケールが多い。ギブソンのJ-45はエレキギターのメディアムスケールと同じ628mmである。ちなみに、アメリカのギターはインチ単位なので端数が生じる。マーチンのドレッドノートのスケールは25.4インチで、1インチ=25.4mmとして換算すると645.16mmである。
同じ弦の場合、645mmと635mmで同じ音程を出そうとすると、理論上は長い方が強い張力にする必要があるので、テンション(弦を押さえたときの張り具合、弦圧)は高くなり、音量も増すことになる。しかし、10mmの差はスケール全体の0.015ほどの割合であり、ボディの構造や材などの差により、ショートスケールでもかなりの音量を出すギターもあれば、ロングスケールなのに弦を押さえたときのテンションが弱めなものもある。
テンションについては、スケールや弦の太さも関係するが、トップの強さ弱さによってもかなり変化するのではないかと思っている。今までの経験上、12フレット接合で、トップが良く振動するようにブレイシングがなされているギターは、ロングスケールであっても、ほぼすべてテンションは弱めであった。その逆でトップが強めに作られている量産ギターはショートスケールでもテンションは強いものが多かった。
クラシックギターのスケールは現在650mmが標準で、640mmや630mmなどがある。1970年ごろは音量が必要ということで660mmが多かったが、弦やボディ設計の進化で650mmでも十分な音量が出るようになったため弾きやすさの観点から、現在は650mmが標準になり、660mmはほとんど見なくなった。同じ理由で最近は徐々に640mmが増えてきている。何年か後には640mmが標準になっているかもしれない。