40 YAMAHA FG-200

YAMAHA FG-200

 1966年に国産フォークギター第1号としてYAMAHA FG-180は小型のFG-150とともに発売され、フォークソングブームに乗ってアマチュアからプロまで幅広いユーザーが使用した。定価は当時1万8千円であったが、初期モデルで状態の良いものは現在10万円以上の値段で取引されている。

 6年後の1972年に、2千円値上げし定価を2万円にするためモデル名をFG-200に変更、その後4年間ほど販売された。このようにFG-200はFG-180の後継器であるが、設計や材は後期FG-180とほとんど変わらない。しかし、FG-180の名前が後に伝説化されすぎたため、ほとんど同じなのにFG-200になると現在の価格は後期FG-180の4分の1ほどになる。
 また、最近(2017年)人気が急上昇している、シンガーソングライター、竹原ピストル氏のメインギターがこのFG-200である。力強く弾きまくる映像が2016年あたりからテレビなどで放送され、氏の人気の上昇とともにFG-200の中古価格が徐々に上がっているとのうわさも耳にする。

 2013年の秋、大阪の地下街を歩いていると、通りすがりの楽器店で、70年代と見られるヤマハFGのヘッドデザインなのにオリジナルペグはピカピカで、トップも非常に奇麗なものが目に入った。このころのFGは酷使され状態の悪いものや、ネック順反りやトップ浮きなどで弦高が髙く、サドルもギリギリまで下げられ音にハリのないものや、サドルの高さを出すためブリッジを無理やり削ったものが多い。しかし、これはぱっと見であるがサドルの高さもあり、ネック、ボディとも全く問題がなく、驚くほど状態が良かった。しかもFG-200のため、値段はかなり良心的な設定である。しかし、別の用事があり、時間がなかったのでそのときは試奏ぜずホールドし、用事終わりに再び弾きにいった。

 1974年製のワンオーナー品でほとんど弾かれずに40年間弦をはずしてケースに入れっぱなしだったらしく、傷も少なくフレットの減りもほとんどない。この頃のFGの弱点となっているネックやボディの状態も良好で、ブリッジが削られた様子もなく、弦高も十分許容範囲である。弦のテンションも柔らかめで私好みの弾き心地である。銘器FG-180の後継器らしく、当時2万円のオール合板の割には音量もあり、特にプレーン弦の出が非常に良く、さすがに音の深みや上品さはあまりないが普段弾きや弾き語りには十分の音である。また、気を使わずに演奏できる貸し出し用ギターとしても最適である。この音、この状態で普通のハードケースもついて1万円台は超お買い得であった。