16 中出敏彦 Master50

中出敏彦 Master50 (クラシックギター)

 2002年2月から第2次マイギターブームが到来し、お気に入りのギターも増えてきた頃、私のメインスタイルであるアコースティックギターでのフィンガーピッキングの上達のため、本格的に基礎からクラシックギターを習いたくなった。

 しかし、クラシックギターは神戸の実家に置いていたS-Yairi 600を1995年の阪神大震災で失っており、それ以来手元にはなかった。ずっと金属弦のアコギがメインだったためクラギに関する知識は薄く、大阪のクラギ専門店FANAに行き、いろいろとアドヴァイスをもらい、私のつたないクラギ演奏レベルに一番反応してくれた中出敏彦 Master50を購入した。

 クラギの良し悪しはまだまだ十分理解できないレベルであったが、弾き易く、クセのない扱いやすいクリアな音の丁寧に作られたクラギであった。自分のスタイルがまだ決まっていなく、これから本格的なレッスンに持って行くには最適なギターであった。

 中出敏彦氏は1932年東京生まれのベテランルシアーである。16歳からクラシックギター製作を父の中出阪蔵氏に学び、1960年28歳で独立して個人工房を開く。1968年にスペインへ渡りマドリッドの2巨匠、エルナンデスからギター工法を、アグアドからシェラック塗装法を学ぶ。80歳を超えた現在も日本のトップルシアーとして製作を続けている。エルナンデス.イ.アグアドの透明トーンを受け継ぎ、スペインマドリッド系の設計で、バランスの良さと澄んだ音色への評価は高い。「中出」という苗字のルシアーは非常に多く、全員親族である。阪蔵と六太郎が兄弟で、阪蔵の子息が輝明・敏彦・幸雄の3人、六太郎の子息が治・昌広の2人である。